福島県は、風土に恵まれた米作り、酒造りに適した土地です。
阿武隈山系の伏流水や磐梯西山麓の湧き水、鍾乳洞由来の地下水など酒造りに欠かせない水も良質です。
郡山市西田町にある渡辺酒造本店の日本酒の仕込みの様子をご紹介します。
案内して頂いたのは、5代目社長 渡辺康広さん。
渡辺社長のモットーは「酔わせない酒造り」
経験とデータから体がアルコールを分解しやすい酒づくりを追求しています。
県酒造組合の酒米対策委員長だった渡辺社長は、新潟大学農学部で土壌学を専攻し、放射線化学を学んだ経験を生かし、酒蔵や酒米農家と共に安心安全な土壌の改良、酒米づくり、そして酒造り取り組んできました。
そして、ふくしまの酒を日本一にすべく、長い時間をかけて酒蔵同士の横のつながりをつくり、杜氏や蔵人たちの技術情報交換を行ってきました。
酒造業界では珍しい取り組みですが、最初は否定的だった蔵元も、渡辺社長は熱心に説得を続けたそうです。
気がつけば、ふくしまの酒は全国新酒鑑評会 金賞受賞数7年連続日本一に!
早速、蔵を案内していただきました。
蔵の中に入ると、ふわぁ~っとお米の炊きあがった香りが。ちょうど釜場では日本酒になるべくお米が蒸し上がったところでした。
この日のお米は「天のつぶ」。
「酒米には、外硬内軟って言って、外側は固く中が柔らかく蒸し上げると、ゆっくり酒が出来るんだ。
美味しそうでしょ? お腹が空くと食べたくなっちゃうんだよ!」と笑顔で語る渡辺社長。
お米のいい香りに包まれていると、ほんとにお腹が空いてきます。。。
続いて案内していただいたのは、仕込み室。耳をすますと「ぷちぷちぷち」と小さな音が聞こえてきます。タンクの温度管理は徹底され、「寒すぎてはダメ。暑すぎてもだめ。0.1度刻みで温度を管理してるんだ。毎日”酒の声”を聞いて手を掛けてやらないと、いい酒にならない。」
まもなく、創業150年を迎える渡辺酒造本店。渡辺社長は酒造りについてこう語っています。「伝統を守るのも大事。でも、進化することも大事にしている。私の代では、ストレスを掛けない酒造りをしてるんだ。地形の特性を活かして、水も米も、自然の流れに身を任せるように。そうするとトゲのない、いい味に仕上がってくれる。」
鑑評会で幾多の賞を受賞している渡辺酒造本店の『雪の小町』。飲み飽きせず、辛口でサラッとした口当たりなのに深みのある味わい。女性のファンが多いのも納得です。
「去年は台風19号、今年はコロナウィルス。福島県の酒蔵は苦境に立たされている。でも諦めないよ!今までも大変なことはいっぱいあったけど、乗り越えてきたんだから! これからも、努力して”ふくしまの酒は日本一!”と全国新酒鑑評会の8連覇を目指さないとね!」と話してくださいました。
おうち時間が増えている今年は、ふくしま自慢の日本酒をぜひ味わってみてください!